Beignets de fleurs de robinier faux acacia フランス人が大好きなおやつ　ニセアカシアのベニエ

D’UN ASPECT VIVANT ET TRÈS SAVOUREUX

BEIGNETS DE FLEURS DE ROBINIER FAUX-ACACIA

フランス人が大好きなおやつ　
ニセアカシアのベニエ

私の住む家のすぐ前にある小さな公園には、2本の大きなニセアカシアの木が植わっています。オーヴェルニュ地方では、4月下旬から5月始めぐらいになると、白い藤のような花が見えはじめ、辺りにはなんともいえない甘い香りが漂います。

家の前のニセアカシアが咲き始めると、夫から「アカシアのベニエって食べたことある？」と聞かれ、「ベニエ？」と頭をひねった私。実はフランスに来るまで、ベニエ自体を知らなかったのです。

すると夫が、「アカシアの天ぷらみたいな感じ」と言って花を摘み、その日のおやつに作ってくれました。生地はほんのりとドーナツのような甘みがあり、中から優しい香りが口の中に広がりました。

アカシアというと普通ミモザのことを差しますが、この辺り（プロヴァンスなども）では、ニセアカシアの花のことをアカシアと呼ぶようで、夫たちが子供の頃は、春になるとどこの家庭でもよく作られていたおやつだそうです。

その後も、蚤の市やマルシェに行くと屋台で見かけることがありましたが、やはり揚げたてが一番！
我が家の周りには、春になると一斉に咲き始めるニセアカシアの森があり、風に乗ってふんわりと甘い香りが漂い始めると、村人たちがニセアカシアの枝を手折っては歩いています。

「あっ？今日はベニエ？」
そう声をかけると、「そうだよ。妻が待ってるからね。」と、嬉しそうに家に戻っていきます。
おしゃべりなフランス人にしては珍しい光景！
そんな様子を見ると、ついつい私も作りたくなり、カゴに傷みのない美しい白い花の房だけ20本ほど摘み、自宅に戻ります。

ニセアカシアの花を摘むときに、気をつけなくてはならないのは蜜蜂が房の中に入っていないかどうか確かめること。この花は蜜源植物であるため、蜂や虫たちが大好きなのです。

みなさんも、春の代表的な蜂蜜である「アカシアの蜂蜜」はご存知だと思いますが、薫り高い甘い蜜はこの美しい白い花から生まれたものです。
花はベニエ以外にも、ホワイトリカーに漬けてアカシア酒になりますが、花以外は毒性があると報告されているので、注意して食してください。